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幽霊実証ログ

幽霊探しアンド雑多なレビュー

【雑ノ談】思いきりの間違った使い方

 

強烈な猫ションの匂いが何処かからする。臭いの元を辿るとどうやら左手首から肘らしい。ちょうど猫トイレを丸洗いするための熱湯を準備していたところだった。

 

 


キッチンでケトルがぐらぐらと水泡を立てて騒ぎ、その音にハッとする。もう一度、腕の匂いを嗅ぐ。やっぱり臭い。経緯は分からないが匂いは本物であった。

 

 

 

猫の尿は水や石鹸で落ちる代物ではなく、臭いをさっぱり取り除くには熱湯を使う。これは猫飼いの間では常識だ。

 

 

 


光明、見つけたり。
このままクッサイ腕で布団に包まるくらいなら少しの痛みくらい耐えてみせよう。私は私に漢気を出した。ほんの少し熱湯をかけるだけ。大丈夫。

 

 

 

今迄も飛んだ熱湯や油を身体に受けても火傷なんかはしたことが無い。刹那のこと、火傷なんかするわけがない。煮え滾る水を右手にシンクに立つ。臭いの元を再確認して的を絞った。

 

 


ドドド。
熱湯は勢い良く私の腕に触れる。その熱湯はカップ焼きそばのお湯を捨てるときと同じ音をたてて排水口に流れていった。もう少し湯をかけたいところだが右手の動きを止めた。

 

 

 

 

想定より綺麗にお湯をかける事が出来なかった。しかしこれ以上、熱湯に曝してしまってはダメだ。本能が警笛を轟かせた。

 

 


ケトルを所定の位置に戻し、左腕をじっとみる。なんとなく赤い。赤いと言っても幼女が雪遊びをしてほんのり頬を染めた程度のいろ。大したことではない。私は都会で育ちながらも心に野獣を飼う女なのだ。過去に訪れたオーストラリアで出会った鋭い牙を持つタスマニアデビルの荒々しさと、何でも食らうイタチザメの獰猛さを持つ野獣を飼っている。

 

 

 

その野獣はかく語りき。

野 『もう終わりやで』

私「ほんまか」

『すまんな』

「ええんやで」

(このくだりを分かる人がいたら嬉しい)

 

 

 

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心臓が血を送り出すたびに腕に届く血液の流れが痛い。転んだ時の擦り傷の上を剣山で何度も往き来させるかのような傷み。馬鹿でも分かる!火傷体験!のはじまりである。

 

 

 

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流水に腕をあてて3分くらい経った頃、短気な私は蛇口を閉めた。ほんの僅かなとき、左腕を熱湯に曝しただけのことである。時間にすれば10秒にもならない事に18倍の時間にあたる3分も水に当てたのだからもう大丈夫だろう。

 

 

 

浴室に放られた猫のトイレに熱湯をかける。その間も左腕は痛みを脳に訴え続けた。『お前のチンケな過去の火傷経験を上回ってやるぞ!やるぞ!やるぞ!俺はやるぞ!』

 

 

 

 

火傷は喧しく左腕は小刻みに笑う。

私は傷みによって半泣きに近かった。心の野獣は尾を腹の下に入れて背を丸めてしまった。冷凍庫から保冷剤を出して患部を冷やしながら猫を撫でる。

 

 


今迄にこのレベルで痛い火傷は経験したことないぞ、アレアレ?と思ったのと同時に傷みはさらなる活躍を見せつける。時計を確認する。午前5時。

 

 


痛いが眠い。病院に行けども待つだろう。
そもそもまだ午前5時である。

 

 

 

 

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白色ワセリンが火傷に効くとネットで知り、即座に湿布。触るたびに飛び上がりそうになるほど痛い。白色ワセリンを塗りラップをすると痛みが引くらしかった。

 

 


言われた通りに実行し、更に患部を冷やし直して1時間が経とうとしている。火傷してから3時間が経ったが傷みは和らいでいない。クソウケる。

 

 

 

そしてこのとき、私は強い睡魔に取り憑かれ始めていた。

 

 

 

傷みと眠気の真剣勝負のゴングが都内某所のマンションで響いた。無我夢中でタオルを使って保冷剤を腕に括り付け、足早に寝床に向かう。それなりにふかふかの布団のなかに入ること数分。強い寒気がして少しも温まらない。当然である。左腕は蚊帳の外でキンキンに冷えた氷もとい保冷剤が括り付けられているのだ。しかし睡魔はあれよあれよと瞼を緩める。

 

 

 

しかし皮膚が超激痛い!!!

私が始まって以来の激痛である。これまで何本か骨を折ったり手術を経験してきたがこれほどの激痛は未経験だった。

 

 

 

先述した通りの、擦り傷に剣山を擦り付けたかのような突き刺す傷みと擦り傷特有のじわじわした傷み。これらと格闘し3時間以上耐えて今の私がある。

 

 

 

救急など今更駆け込んでは武士の名折れ。ここで負けてなるものか!と心で叫ぶものの、『深刻な火傷の場合は早急に医師に相談してください』とネットにあった一文が脳裏に浮かんでは時が経つごとに存在感を強めていた。

 

 

 

深刻な火傷とは到底思えない。

が、しかし。

数時間も傷みは継続するものなのだろうか?焼け爛れてこそないが、考えてみれば腕をしゃぶしゃぶしたようなものである。ロキソニンを飲んで腕の感覚が失われるほどに冷やしていたら傷みは次第に弱まり、私は睡魔のひとときの嫁になった。

 

 

 

 

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睡魔と別れを告げ、クソ現実に戻ってみると腕は水膨れを使っていた。赤く爛れた皮膚に触れると痛みが走り、風呂に入れば激痛が騒ぎ立てる。立派な火傷になっていた。

 

 

 

今朝、Twitterにぼやいたように私は現在、小田原から箱根。そして熱海から下田までの湯巡り散歩に出ている。クソだクソ。なんで火傷なんかしてんだ。15年ぶりくらいの火傷にして秘湯探しをする人のスペックではない。掃いて捨てたい。

 

 

 

しかし友達ができた。名前をブッシュと言う。

水膨れはずっと見てると愛着が湧いてくる。大きい水膨れの他に目視でも難しいほどの小さいポツポツもある。ポツポツは気持ち悪いけれども水膨れは触れるとふにふにしていて、なんだか可愛い気がしてきた。名前はもうある。ブッシュである。

 

 

 

由来としては押すとブッシュと水が出てしまうことからブッシュと名付けた。安易安直だが私の人生そのものが安易安直簡易簡潔であるため仕方がない。

 

 

 

 

 

▼まとめ

ネコションをくらった肉体を熱湯で処理してはいけない。私はわりに神経質で慎重な面を持つものの我が身のことになると豪快かつ適当である。それ故に酷い目にあった。すべては眼前ならぬ鼻前の悪臭を断つための行動だったが火傷処理の方がクソ面倒なので今後もう同じ過ちはしない。

 

 

愚者は経験から学び、賢者は歴史から学ぶという。君は賢者となるか愚者となるか。今後のきみたちの決断を見守りたいものである。

 

 

 

オワリ

 

 

ps

火傷はわりとマジで痛いからもう二度としたくないし、将来死ぬときは焼死だけは絶対に嫌だと心底から思った。