【実話怪談】鳴る
24歳の青山さん(仮)の話だ。
彼女に物心がついた頃にはその音が時々聞こえていたという。音はかちん、ともぱちん、ともつかない機械音らしい。
家のどこからともなく聴こえる音に最初は家族が折り畳み式の携帯電話を閉めたのだろうと思っていた。ぱちん、と響く音は時間や曜日といった概念に縛られず鳴った。
そのうち青山さん自身も自分の携帯を持つようになって初めて、子供のころから聴こえていた音が携帯電話を折りたたむ時の磁石が引き寄せあう音だと確信したという。
夜、微睡のなかを進むときにその音は鳴る。早朝、あの音でふと目が覚めてしまう。帰宅して制服のままベッドで友達とのやり取りに夢中になってる時でも鳴る。
日曜日の昼間、ぱちんという音で目が覚めた青山さんは家族の誰かが携帯電話を使っていたのだなと考えた。ベッドから半身を起こして現実に意識を向けた。
父はゴルフに行く日だと言っていた。姉や兄達は仕事だと愚痴を零していたし母は、母が家のなかにいるのだろう。ベッドから抜け出して冷蔵庫に向かう。その後にお手洗いにも行った。家のなかには誰もいなかった。
青山さんは初めて奇怪な音の正体が気になるようになったと言う。それからも定期的に音は鳴り、そのたびに音のする方向に視線を投げたが何かが見えたことはない。
時間は流れ、実家を出て一人暮らしを始めた。その間にあの音が鳴ったことはなく、青山さん自身も音の存在を忘れていた。それからまた1年、また1年と過ぎる。気ままな一人暮らしは3度住む家を変えてそのたびに快適な生活をした。
今日日、折り畳み式の携帯を使っている人は少数になり誰もが各々が選んだスマートフォンを持っている。「ガラケーの時はこんなことがあったね」とさも昔話をするようにもなった。
今、青山さんの家では音が鳴る。
時間を選ばず一度きりぱちんと無機物がぶつかり遭う音が響く。テレビをつけていてもイヤホン越しでも聞き逃すことがない音量で鳴る。その音の正体を見たいと思う反面で6年間忘れていた音が今になって現れた事が不思議でならないと青山さんは不安そうな顔で語っていた。
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▼怪談、はじめました。
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